業務報告はキスのあとで
私は離れようと必死にもがいてみるが、私の前で組まれた平岡さんの腕が私を離してくれない
「もう、離れてくださっ…」
「やーだ」
「やだ、じゃなくて……だって、誰か来ちゃう」
今の今まで、誰も来ていないのが寧ろ不思議なくらいだ。
本当にいつバレてもおかしくないこの状況に、この人は焦りを感じないのだろうか。
「もう、この際さ。バレちゃってもいいんじゃない?」
そうしたら皆胡桃ちゃんは俺のだって把握してくれるだろうし、と言って笑っている平岡さんは何て呑気なんだろうか……
そうは思いつつも、少し嬉しくて頰が緩みかけている私も少し呑気なのか。