業務報告はキスのあとで

ごく自然に、平然と、ひとりひとりに返された手島さんの返事。

その中に、ひとつだけ違和感を感じたのは気のせいだろうか。


「ちょっ、ちょっ、ちょっ! ちょっと待って! 今、てっしーナチュラルにプロポーズしなかった!?」

「や、やっぱり……!」


平岡さんの一言に私は確信を得た。

麻奈実の『私も早くウエディングドレス来た〜い!』という一言に返された『じゃあ麻奈実も着る?』という返事。


私の感じた違和感の理由は、このプロポーズにあったのか……!



「ちょっと待って! プロポーズってそんなに簡単にしていいもんじゃないでしょ!」

「そうか?」

「いや、突然なんの前触れもなく台所で『しよっか?結婚』なんて言った人が言える台詞じゃないですよね」

「え? 今のプロポーズだったの!?」



「はいはーい、騒がしいですね。気持ちが高ぶるのは分かりますけど、そろそろ始まりますよー? プロポーズは大事ですけどとりあえずその続きは後でしましょうね」



色々グチャグチャな私達の会話。

そんな私達の会話に終止符を打ったのは、私達のウエディングプランナーである田中さんだった。

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