業務報告はキスのあとで

田中さんに言われた通り、私達はとりあえずその場を離れて各自目的の場所へと向かった。

その間も、私の頭の中はさっきのプロポーズとこれから始まる式の緊張とでいっぱいだった。


実は、手島さんと麻奈実は2年程前から付き合っていて。その事はもちろん私も平岡さんも知っていた。

けれど、まさかあんなところで、あんなに自然にプロポーズするとは思ってもみなかったから驚きを隠せない。



「胡桃さん」

「へ……はい!」

「集中してくださいよ? これは貴方と彼にとって一生に一度の素敵な思い出になるんですから」


「…………はい」



私達の式のプランを立ててくれた田中さんに背中を押され、私は気持ちを切り替える。



本当に田中さんの言うとおり、今日は、きっと、ずっと、忘れられない日になる。


平岡さんにとっても同じような1日になるようにと、私は歩き出した………





< 347 / 350 >

この作品をシェア

pagetop