業務報告はキスのあとで
私は、平岡さんの一言が泣けてしまいそうなほど嬉しくて、幸せで、一粒の涙を流した。
「……平岡さん」
「胡桃ちゃんも今日から平岡さん、でしょ?」
「…………純平」
「ん?……なーに?」
「………ううん、何もない。」
なんだそれ、と口パクで言って微笑んだ純平が私の顔に掛かっているベールを上げる。
そして、ゆっくり、ゆっくりと顔を近づけた。
そうして重なった2つの唇は、きっと、今まで、何度となく重ねてきたどれよりも確かに愛に溢れていて。
どれよりも、温かくて、愛しくて、かけがえなく、大切で。
そして
私はこの人以外にはいない、と、そう思わせるのには十分すぎるものだった。
「……あー、やばい。幸せ」
そう、私の鼻に自分の鼻の頭をくっつけて笑った純平。
私はこんな彼のことを、愛して、支えて、寄り添っていきたいと心の底から思った。
そして、彼だけを、ずっと、ずっと、愛していくことを誓います──────。
*終*
「結婚指輪は誓いのあとで」
(2015.08.03)