業務報告はキスのあとで
「〝遅刻しちゃった〟じゃねえだろ、この野郎!」
「いててて!ちょ、テッシー、痛い!これは真剣に痛いから!」
手島さんがもの凄い勢いでそのチャラ男さんへと近づいていく。そして、何をするかと思えばぎゅっとチャラ男さんの耳を掴んで引っ張った。
耳を掴まれた彼は、ギブアップと言わんばかりに手島さんの肩を叩き続けていて、私はそれを〝うわあ、痛そう。〟なんて思いながら呑気に観察していた。
手島さんが耳から指を離すと、何やら二人は真剣に話し始める。そして、しばらく経ち全てのやり取りが終わったのか私の目の前まで歩いてきた。
「……で、小松さんの教育係がお前だからな。ちゃんと仕事教えろよ」
何の話をしていたのかは全く分からないが、とりあえず空気を読みチャラ男さんへと一度だけ視線を移し頭を下げる。
「あ、えっと、小松といいます。宜しくお願い致します」