業務報告はキスのあとで

あまりに鋭い一言に動揺し、自然に何度か出てきている〝胡桃ちゃん〟呼びに腹を立てる。

しかし、そんな私のことを平岡さんが気にするわけもなく。


「おいでよ、ね? 胡桃ちゃん」


なんて、私がやめて欲しいと言った矢先に胡桃ちゃん呼びだ


「だからっ…」


と、いちいち腹を立てるのも馬鹿らしく思えてきて私は言葉を飲み込む

そして

「別に私が来たって、来なくたって、変わらないですよね?」

なんて、無意識に口から出てきたのはこんな捻くれた一言。


あぁ、別にそんなこと言うつもりじゃ無かったのに。

それに、こんな捻くれたような事を言えばこの人はきっと……


「おー…っと、なになに胡桃ちゃん、拗ねちゃった? 私が来ても来なくても変わらないですよね、って。はは。かーわい」


もう、ほら、やっぱりこうやってからかってくるって分かってたのに。


最後、冗談っぽくだけれど〝可愛い〟と言った平岡さんの言葉に不覚にも顔が熱くなってきた私

それがバレないようにと自然に顔を俯かせて平岡さんの足元を見る


「……って、笑ってる場合じゃないか。時間も時間だしね」

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