業務報告はキスのあとで
………と、そんなこんなで結局、堂島さんや牧野さんからの質問攻めを受け続け、歓迎会という名の飲み会は終盤に差し掛かってきた
その時
「お、平岡今日1杯も飲んでないな。どうした?病気か?」
という手島さんの声が、ガヤガヤとした中から微かに聞こえてきた。
ああ、やはり平岡さんは普段よく飲むのか。そんな感じするなあ。
酔ってもいつもと変わらずヘラヘラ笑いながら話してそうだな、なんて酔った姿の平岡さんを想像してみる。
そして、そのまま私はその会話に耳を澄ましていた。
「あー……それが今日、車で来ちゃったんだよね」
「車? 何でだよ。お前はバカか」
「小松さん迎えに行ったし、これから送ってかないといけないから…かな?
1人でなんか帰せないでしょ。流石にこんな時間だしさ。俺も心配になるし、ね」
少し離れている席に、ガヤガヤとしている周り。
私の聞いた平岡さんの台詞は、聞き間違いか、それとも聞き間違いではないのか。
ドクン───
不覚にも大きく脈をうつ、私の心臓。
……いや、いやいや。絶対嘘だ。絶対、私の聞き間違い。
だって、あんなことを平岡さんが言うわけない。