業務報告はキスのあとで
「そうっすよねぇ」
そう言って笑う木村の横を歩く俺は、確かに仕事に関しては卒なくこなせるし、今の会議だって資料無しでも何とかやってのけた
が
「いやー…まあ、それでも小松さんの資料があればもっとうまくいったかなとは思うけど。 何なら秘書につけたいくらい良い仕事するからね、彼女。」
余計な事まで口走ってしまったけれど、これは紛れも無い事実。
まだ入って間もないけれど、胡桃ちゃんの仕事は丁寧で、確実で、綺麗だ。
だから、俺も資料作りをわざわざ新入社員である胡桃ちゃんに頼んだわけだし……
本当に胡桃ちゃんの作った資料があれば、会議はもっと完璧に終えられたかもしれない。
「何言ってんですか、平岡さん。俺ら社員に秘書なんかつかないし、大体小松さん絶対資料やってないでしょアレ。」
隣を歩く木村のこの一言に、俺の眉間にギュッとシワが寄る