業務報告はキスのあとで
木村を取り残した俺が、足早に向かった先とは………
「ははは、馬鹿だよねぇ〜」
「本当に。興味ないとか言っておきながら平岡さんと二人きりの日に残業して、挙句送ってもらってなんかいるからこんな事になるのよ」
「本当それ〜」
「いい気味よ」
オフィスの前の廊下で、タイミング良くそんな話をしていた2人の女のもと、だ。
ちなみにその〝二人の女〟というのは
「ねえ、今の話詳しく聞かせてくれない?堂島、牧野」
……そう。社員の中でも勤めている期間は長い方で、一応ベテランの域ではある堂島と牧野のこと。
「え、平岡さん…!?」
「何でここに…というか、今の話…」
突然、目の前に現れた俺に焦っている様子の堂島と牧野
「うん、ちゃんと聞いてた。だからちゃんとさ、俺に分かるように説明してよ」
今の話を、さ。と、敢えての笑顔で問う俺はもしかするとほんの少しSなのかも?なんて今は関係ないけれど。
そんな呑気なことを一瞬でも考えた俺の向かいに立つ堂島と牧野は顔を合わせて頷き合い、渋々重い口を開いた