業務報告はキスのあとで
「っ……や……めてください」
また、温かいものが溢れ出しそうになり、ぼやけていく視界
私は無意識のうちに、下唇を噛む力を更に強めた。
「こら、噛んだらダメ。傷ついちゃう」
すると、私自身の唇を強く噛む歯に気づいたのか、平岡さんはそう言って優しく笑った。
「……っ……う」
その笑顔に何故か私は涙を止められなくなって、頬に大粒の涙を伝わせた
その後、私はしばらく平岡さんの目の前で泣き続け、平岡さんはただ黙って私の頭を撫でていた。
「あ、の……平岡さん……会議は…」
泣いて、泣いて、泣き疲れて。少し落ち着いた頃、私はやっと一番重要な事を聞くことができた。
その私の問いに平岡さんは、一瞬キョトンとした後で笑った。
「あー、会議?無事成功したよ」
まあ、俺天才だからね。なんて冗談交じりなひとことまで付け足される。
私は、平岡さんのこういう軽くて、冗談ばかり言うところが苦手で、嫌いだ。
でも