最後の日
配慮はありがたいけれど、この至近距離はこっちとしてはかなり照れる。まるで以前ドラマで見たラブシーンだ。なんだっけ、満員電車の中で彼女が押し潰されないように守る場面。この場合守られているのは花束だけれど。
警告ブザーがなるギリギリまで人を押し込んでエレベーターの扉は閉まった。
「……」
「……」
二人して押し黙ったまま、エレベーターは下へと動き出す。
「なあ」
「え、何?」
声をかけられて顔を上げると、至近距離で目が合った。お互いの鼻が掠めそうだ。恥ずかしさがぶり返してお互いに目を反らす。
「やっぱ降りてからにするわ」
「う、うん」
結局私達は無言でその場に立ち尽くしていた。
他にも喋っている人はいるし、エレベーターの中が静かなわけじゃない。それでもこの体勢のままだとどうにも会話がし難いことこの上ない。皆扉の方を向いている中で相澤だけが私に顔を向けていて、しかもお互いの息がかかりそうな距離なのだ。
警告ブザーがなるギリギリまで人を押し込んでエレベーターの扉は閉まった。
「……」
「……」
二人して押し黙ったまま、エレベーターは下へと動き出す。
「なあ」
「え、何?」
声をかけられて顔を上げると、至近距離で目が合った。お互いの鼻が掠めそうだ。恥ずかしさがぶり返してお互いに目を反らす。
「やっぱ降りてからにするわ」
「う、うん」
結局私達は無言でその場に立ち尽くしていた。
他にも喋っている人はいるし、エレベーターの中が静かなわけじゃない。それでもこの体勢のままだとどうにも会話がし難いことこの上ない。皆扉の方を向いている中で相澤だけが私に顔を向けていて、しかもお互いの息がかかりそうな距離なのだ。