あと2分のクリスマス。
「ねー、ダテメくん」
「…え?それ俺のこと?」
あー、頭が痛い。
完璧飲みすぎたな、コレは。
「“好き”って何」
「え?突然どうし…」
「“恋”って何!
答えろやゴラァ」
胸ぐらを掴み上げ至近距離でガンを飛ばすと、ヒィ、とダテメは情けない声をあげた。
「み、美冬ちゃん?
い、一回落ち着こ?ね?」
「…落ち着いてるよっ」
「痛いっ!」
乱暴に胸ぐらをはなすと、ゴンッと壁に何かがぶつかった鈍い音。
「私はさぁ、イマイチ分かんないよ。
好きとか、恋とか、全然わかんない」
グイッとビールを煽る。
だけど酔えない。
酔いたいのに、頭の中はアイツのことばっかりで。
「彼氏と別れたのに、そんなことより男友達なくした事の方がよっぽどショックで。
ねぇおかしいよね?変だよね?」
「うーん…」
頭をさすりながら、苦笑いするダテメ。
「……たぶんだけど、恋ってはっきり認識してするもんじゃないんじゃない?
気付いたらしてるもんでしょ」