あと2分のクリスマス。
「ありがとうございましたー」
コンビニで小さなショートケーキを二つ買った私たちは、手を繋いで歩き出す。
「…ケーキってコンビニ?」
「仕方ねーだろ、ケーキ屋もう閉まってんだから」
自動扉のすぐ近くに飾られたツリー。
たぶん明日の朝日を見ることなく、彼はもう少しでまた、一年間の長い眠りにつくのだろう。
「……あと、2分か」
スマホを取り出した箕島が、画面を見て時間を確認する。
「ケーキ食べる前に終わっちゃうな、クリスマス」
「だね。
結局今年、クリスマスっぽいこと何もしなかったなー」
したことといえば破局と飲み過ぎと……以下自粛。
「…じゃぁ」
信号は、赤。
車なんて一台も通っていない道路を前に、箕島があたしを見下ろす。
「…最後に、キスでもしとく?」
慎重にいく、と言った手前か、どこか緊張をはらんでいるように見える箕島の瞳。
それが妙に愛しくて。
私は笑って、ゆっくり目を閉じた。
箕島の手が、そっと私の頬に触れる。
「…好きだよ、美冬」
あと、2分のクリスマスは
祈るように
惜しむように
だけどまた来年も、
あなたとこの日を、迎えられますように。
A Happy Merry Xmas!
end