激愛
「俺のもんに触んじゃねえ・・・・」



「りゅ・・・龍さん!く・・・苦しいっす! 「ちょ、ちょっと!なにしてんのよ止めてよ」




「瞳は黙ってろ、俺はこいつに話してんだ・・・いいか?俺は自分のものに手出されんのが一番嫌いなんだよ!わかったか!あ?」




「わ・・・わかった!!」 首が折れるほど頷いた喜一君・・・・



掴んでいた腕をゆっくり離すとちらりとあたしを一瞥する



ぐいっと腕を掴むと大股で歩き出す龍さんに自然と小走りになるあたし




でも龍さんあたしのこと・・・さっきなんて言った?



俺の物って言ったよね?それは龍さんの本音?それとも口から出た出まかせ?




あたし、単純だからそんなこと言われたらどきどきしちゃうんだけど・・・・



でもそっか、彼氏の振りするんならそれくらいのこと言わなくちゃ周りに信じてもらえないか



所詮期間限定の彼女だもんね、これも時給のうちだと思わなきゃ



自分で自分に言い聞かせながらこの心の痛みがなんなのか気が付かないあたし



捕らわれてしまったのはどちらなのか



この思いがなんなのか気が付くのに時間はかからなくて・・・・龍さんの握りしめた手がとても熱く感じられた



乗り込んだ車内で一言も話すことなく俯いたままの彼





海よりも遠い彼を感じて流れる車窓だけを見つめていた
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