激愛
そんなに見られたら体に穴が開くんじゃないかってくらい見られてるんですけど?



あたしはしんと静まり返った倉庫の中を龍さんと手を繋いで小走りに歩いている



聞こえるのは波の音と微かに香る潮の香り



遠くに見えるのは小さな海岸・・・・



へえ、こんなところにこんな綺麗な海あったんだ



そんなことを思いながら必死に龍さんの後を付いて行った



階段を上りドアを開けるとそこに広がっていたのはマンションの一室のような空間



窓にはレースのカーテン、黒を基調としたソファや家具



そして奥には真っ白な台所と冷蔵庫、大型のテレビもあるし・・・・



いったいここは本当に暴走族の溜まり場なのか?



そんなことを思わせる空間だった



「そんなとこ突っ立ってねえでここ座れ」



「あ・・・うん」



明らかに4~5人は座れるであろうソファにゆっくりと腰を降ろす



うわあ・・・・このソファ座り心地いいな、ふかふかだし!



思わずにやけてしまったあたしに隣に座る龍さんがくすっと笑ったのがわかった



「何か飲むか・・・?飲めるもんって酒以外にあいにくコーヒーしかねえけど」



そう呟いて立ち上がり台所へと向かう彼を無意識のまま目で追った
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