激愛
「龍さん!早くして!喜一君が死んじゃってもいいの?ぼーっとしてんじゃないわよ!」



「あ、ああ・・・おい!ここに石崎の奴呼んでくれ、大至急ってな」



「は・・・はい!」



龍さんはあたしの言葉にはっと我に帰るとすぐそばにいた男の子にそう言った



誰が持ってきたのかわからないけどあたしのすぐ傍には救急箱が用意してある



赤い髪の男の子が救急箱を開いて手当てをしようと消毒薬なんかを捜しているけど見ていられない



はっきりいって手際が悪い・・・あ~もう仕様がないな



「ちょっとこれ持っててもらえます?」



「あ・・・はい」



あたしは着ていた制服のブレザーを脱ぐと傍にいた男の子に手渡した



喜一君の傍に駆け寄ると手当てしていた男の子にあたしがやりますと言うと驚いたように固まった




「いや・・・龍さんの彼女さんに、姫にそんなことさせる訳には・・・・」



「あんたなにいってんの?いいからちょっとどいて!喜一君の手を止血しないと・・・手遅れになってもいいの?」



「でも姫にしてもらうなんてそんなこと・・・ここは俺らがやりますから」



後には引かない男の子たちと押し問答していても仕方がない



あたしは救急箱を無理矢理奪うと手当てを開始した、傍らにいた龍さんが優しい笑みを浮かべていたことなど知る由もない
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