激愛

「痛っ・・・」



「ったく隙があり過ぎなんだよ！あの人は腕のいい医者だが女には手が早いから気を付けろ」




龍さんに叩かれた頭をそっと撫でていると一台のバイクが滑るように溜まり場に入ってくる



黒いヘルメットをはずしてさっと降り立ったのは現総長である矢島さんだった



「喜一は？連絡もらってすっ飛んで来たんだけど容体はどうなんだ？」



「今、石崎さんに連絡して往診してもらっんだが命には別状ないみてえだけど２～３日検査入院らしい・・・・」




「そうか、とりあえずたいしたことないみたいだな・・・よかった・・・」




「総一郎・・・そんなことより喜一を襲った相手のことなんだが」



そう言いかけると龍さんは総一郎さんの耳元で何かを囁く



ふたりの顔があっという間に暴走族の顔になった瞬間だった




あたしの知らないところで何かが起きているような気がしてならない



喜一君をあんな目に合わせたのは一体誰なのか



複数で襲ってきたのか単独で襲ってきたのかはわからないけど心がざわざわして落ち着かない



見えない敵への恐怖心があたしの不安だけを掻きたてていた



「龍、とりあえず二階行くぞ・・・・あっ瞳ちゃんも一緒に来てくれないか？話しておきたいこともあるし」





振り返ってそう呟く総一郎さんの顔は何時になく真剣で良い話ではないなって思わせる顔だった