激愛
「瞳、さっきはありがとなお前が手当てしてくれたから助かったよ・・・喜一も命には別状はないみてえだし」



パソコンの画面が気になって仕様がなかったけど龍さんの言葉にはっと我に返る



「あ・・・ううんあたしこそ初めて来たのに図々しくも怒鳴りちらしちゃってなんかごめんね」




「いや、俺もちょっと動揺してたから瞳にああ言ってもらえてよかったんだよ」



本日二杯目のコーヒーをテーブルに置くと照れくさそうにそう答える龍さん



下にいる人たち驚いただろうなあ、突然現れた女に怒鳴り散らされて・・・・



いくら喜一さんが大けがしているとはいえ後で謝っておかなくちゃ



「それにしても瞳ちゃんって度胸があるよね?っていうか肝が据わってる?そんな感じするよね初めて溜まり場に来たのに全然怖がってないし」



信吾君の言葉に改めて思う、そうだよねえこんなに大勢の不良に囲まれて全然怖いと思わないのは何故か・・・・




多分それはお父さんの二番目の奥さんである美由紀さんが連れ込んでいた男のせいでもある



ここにいる不良なんかよりも遥かに厳つい強面の男を沢山見て来たから・・・・




だから自分と同じくらいの年齢の子が不良っぽい格好をしていてもあんまり怖いとは思わない




でもそんなことを正直に言えるはずもなく・・・・あたしって鈍感なんです!って言って適当に誤魔化した




「瞳・・・俺は隠し事は嫌いだから正直に言う・・・・」





突然あたしの耳元に掠れたような龍さんの声、何故か心臓がどきりと波打った
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