激愛

「お父さん・・・・お父さん！」



耳元で叫んでもぴくりとも動かないお父さんに頭が真っ白になった



え・・・もしかして・・・




そう思ったあたしがお父さんを凝視するとすやすやと寝息を立てているのに気が付いた



あっ・・・・生きてる




よかった・・・・本当によかった



無意識にお父さんの手を握りしめていると病室をノックする音



あ・・・誰だろ？もしかしてお母さん？




ってかお母さん、あの後どうなったの？



一瞬嫌な予感が駆け廻りドアを開けると目の前に見慣れないスーツ姿の男性が立って居た



４０代位の黒髪で短髪、銀縁眼鏡のとても背の高い男性



綺麗・・・・イケメンだな・・・なんてそんなことを咄嗟に思うほど男の人は格好よかった



でも、この人誰だろ？お母さんの知り合い？それともお父さん？




考えあぐねてじっと見つめていると男性が柔らかく微笑んだまま言葉を発した



「こんにちわ、初めまして瞳ちゃんだよね？お母さんの仕事場の弁護士さんなんだけど・・・
荒木正弘って言うんだよろしくね」




そう言って頭を撫でてくるこの男性の笑っていない瞳をあたしはじっと見つめていた