激愛
「お前の実家の力をもってすれば黒覆面の集団が誰なのか調べる位お安い御用なんじゃねえか?」



あれから瞳を家まで送って行き再び倉庫に来た俺は総一郎と話し込んでいた



密かに繁華街を調べている総一郎、だが神出鬼没ともいえる黒覆面の集団はなかなか尻尾を現さない




さすがの総一郎もメンバーに被害が続出しているためイライラを隠せない



だから俺の親父の力を借りようとまで言い出した始末



「悪いが今は実家とは関わり合いを持ちたくねえ・・・」




「すまん・・・・龍、そうだよな悪い・・・」



総一郎はそう言って目を伏せるとベットボトルのミネラルウォーターをごくりと飲んだ



「たとえ俺が頭を下げて頼んだとしても悪ガキどもの争いになんざ俺の親父が首突っ込むはずがねえ・・・無下に断られるのが目に見えてる」



俺が溜息をついてそう答えるとそれもそうかと納得したのかしばし考え込んでいた



俺の実の父親は森田財閥の総帥、森田龍之介



運輸、流通、ホテル業、貸しビル等々ありとあらゆる企業を一手に傘下に収める複合企業




その頂点に立つ男が俺の生物学上の父親



はっきりいってこの人に愛情なんてものを俺は抱いたことがねえ



あっちもおそらくそうだろう、そんな親父がガキ共の争いに手を貸す何んざありえねえ




そんなことを思いあぐねていると総一郎が思いもかけないことを呟いた
< 193 / 538 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop