激愛
すると、握りしめていたお父さんの手がぴくりと動いた



・・・えっ!今動いたよね?



驚いてお父さんを見つめているとゆっくりと瞼を開ける




しばらく辺りを見渡すと横にあたしが居たのに気付いたようだ




「瞳・・・・」




「お父さん!大丈夫?あたし瞳だよわかる?」




「ふっ・・・そんなに大きな声を出さなくても大丈夫だよ、ちゃんと聞こえてるよ」




「うっ・・・お父さ・・・ん・・・よかった!ひっく」




色んな思いが溢れてきて我慢できずに泣いてしまったあたし



そんなあたしを見てごめんなと言いながら手を握りしめていつまでもあたしに謝っていた父




そんなお父さんが生きて自分の目の前にいることがなによりも嬉しくって・・・・




その夜は一生分の涙を流したんじゃないかってくらいに泣いたと思う



泣き疲れてふと気が付けば妙にお腹が空いている自分に気が付く




荒木さんに頼んでお弁当を買って来てもらいその日はお父さんと一緒に病院にお世話になった






そんな父と母の離婚が成立したのは父が退院してから数日後夏休みも終わりに近づいた残暑厳しい日のことだった
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