激愛

彼の膝の上にいる彼女はあたし達を見つめると嫌悪の表情を露わにする



まるで二人の世界に入って来るなと言わんばかりの表情の彼女は口角を上げるとあたし達に向けて言葉を発した




「ねえ・・・・ここは部外者立ち入り禁止だって聞いてないの？それともうちのリーダーに何か用でもあるのかしら」




彼女は膝の上に座ったまま彼の胸にそっと頬を寄せると細い体を摺り寄せた



「よくいるのよねえ、勘違いした馬鹿な女が・・・・翼の女はあたしだしこの学校の姫はあたし！動かしようがない事実なのにまだ自分が姫になれると勘違いしている輩がこの旧校舎に入ってくる・・・ねえ翼？懲らしめてやったら？」




「あたし達はリーダーの女になりたい為にここに来たんじゃない！ちょっと聞きたいことがあってね・・・」




今まで黙っていた秀一君の一言にふっと笑いを浮かべた彼女



あたしは何気なく視線をリーダーの翼さんに向けるとあたしの顔を見るなり何かを思い出したようにはっとした表情を見せた




あたしを食い入るように見つめる彼に膝の上の彼女も気が付いたんだろう



「翼・・・・？一体どうしたの？メンバーに言ってこの女どもを「・・・・瞳？」」




翼さんと言う彼の言葉と彼女の言葉が重なった



・・・え？今あたしの名前を呼んだような？空耳？気のせいかな




「お前・・・・もしかして瞳か？矢追・・・瞳じゃないのか？」




信じられない言葉が彼から発せられた、え？この人あたしのことを知ってる？