激愛

「瞳さんって言ったわね？あたしは上原沙耶・・・この竜谷高校の姫はシンボル的な存在であり皆の憧れ」




ちらりとあたしを一瞥すると耳元に近づいて言葉を放った



「幼馴染だかなんだか知らないけどあたしの居場所を奪うのは許さないから・・・それだけは
憶えといて」




多分他の誰にも聞こえていなかったと思う



あたしは沙耶さんの凍りつくような冷ややかな声に一瞬身震いした



沙耶さんの身体からはつーくんと同じ香水の匂いがしてふんわりと鼻を掠める



嫌でもあたしの男だと言われているようでなんだかちょっと淋しさが込みあげた



なんだか親しい兄弟を取られてしまった妹のような感覚




あたしは苦笑いを浮かべると沙耶さんにはっきりと答えた



「安心してください、沙耶さんの心配するようなことは何もないですから」



あたしがそう言うと食い入るような瞳で無言で見つめる沙耶さん



つーくんは怪訝な瞳であたしを見つめたまま



なんだかいたたまれず視線を秀一君に移すとスマホを片手にあたしの方へ歩いてくる



秀一君は半ば呆れたような感じで溜息をひとつつくと思いもかけないことを言い出した




「はあっ、ったく瞳・・・・お迎えが来てるわよ」





お迎え・・・・？一体誰？