激愛
「や・・・あの、別にそんなたいしたことじゃないし・・・」



あたしがそう答えるとそうかと言いながらゆっくりとソファに座り込んだ



すると側近である中村君があたしの方に視線を移して冷ややかな表情を浮かべて話し出す



なんだかこの人苦手・・・・心の奥まで見透かされそうな瞳に緊張感が走った



「ここに忍び込んでまで聞きたいのはおそらく黒覆面の集団のことなんだろうけど生憎うちの奴らではないってことだけは言っとくよ、まあ生徒全員の行動をいちいち把握してはいないから絶対とは言い切れないけどね」



「わかった・・・・まあ、あんた達のリーダーの顔も見れたことだし今日はこのまま退散するよ」



秀一君はあたしの腕をそっと掴むとドアへと歩き出す



出て行こうとドアの取っ手に手をかけたとき背後から声が聞こえた



「葛西の奴に言っとけ!どういうつもりで姫を送り込んだのか知らないが神龍の弱みがこちらにある限り関東ナンバー1の座にいるのも時間の問題だってな」



中村航さんの掠れたような声が響いていた



あたしと秀一君は無言で旧校舎を後にする



外に出ると冷たい空気が頬を掠めた



外はすっかり薄暗く昼と違ってそれだけで学校内は何処か不気味だ



あたしと秀一君は何かを振り切るように足早に校門を抜けると学校近くのコンビニへと足を進めた










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