激愛
「美由紀はわたしの父の経営する居酒屋の従業員でした、わたしはその店の店長を任されていて付き合うのにそう時間はかからなかった・・・」



鮫島さんが言うには最初はごくごく普通に付き合っていたらしい



美由紀さんのアパートに行ったりお休みの日に逢ったり・・・




でも居酒屋と言う職業柄営業時間は主に夕方から深夜まで



当然昼は寝ているか仕込みの準備



付き合っていくうちに昼間にデートをしたいとか出かけたいとか言い出したらしいのだが



「当然休みでなければそんなのは無理な話なんです、じゃあ店が休みの日に何処か出かけようって言っても美由紀は聞かなくって・・・・今行きたいだのなんだのって騒ぎ出して泣きわめく始末、その頃からなんだと思うんです美由紀の様子がおかしくなったのは」



店にも来たり来なかったりで当然シフトを組んでいるから突然連絡もなく休まれるのは困ったらしい



「店に来てもかなり酒臭くておかしいと思ったんである日美由紀のアパートに尋ねてみたんです・・・・中に入って見ると部屋はまるでゴミ屋敷のようで、救いだったのは隼人くんの世話だけはしていたみたいなんです」



そう話をするとふうっと大きく溜息をつく鮫島さん



コーヒーを一口、口に含むと再びゆっくりと話し出した



「つい先日も気になってアパートを訪ねたら美由紀は何処にもいなくて・・・隼人くんが一人泣き疲れたのかベットに転がって寝ていました心当たりは全部捜したんですが行方がわからなくて・・・」



携帯も財布も持たないで美由紀さんは隼人を置いて出て行ったらしい
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