激愛
身寄りもなく兄弟もいなかった美由紀さん



取りあえず鮫島さんは隼人の父親のことを調べあげここに行き着いたってのが話の全容




あたしは話の内容に驚いて呆気に取られたままただ呆然としていた




こんな小さな子供を置いて出て行くなんて・・・・



あの人は何を考えてるんだろう



鮫島さんが来てくれなかったら今頃は・・・・そう思うと背筋が寒くなる



気付いてくれたからよかったようなもののもし訪ねてくれてなかったら?



下手すると隼人の命さえ危なかったかもしれない



そう思うだけで胸が苦しくなり身体が震える、無意識に隼人を抱きしめて暖かい体に頬を寄せた



「美由紀の・・・・美由紀の行方はわからないんですか?」



「警察のほうには捜索願いは出しましたが未だに連絡はないんです、わたしのほうも店のこともあるんですがかといって隼人くんをこのままほっとけないんで実のお父さんのもとに行った方がいいんじゃないかと思って今日こうして伺ったんです」



鮫島さんが話を終えるといつの間にかあたしの胸で眠りこんでしまった隼人をお父さんが見つめた



お父さんは来週の金曜日にはタイに行ってしまう



タイに一緒に連れて行くべきかお父さんは悩んでいるようだ



でも、お父さんにとっても初めて暮らすであろうタイという国



じゃあ、あたしが隼人の面倒を見るしかない
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