激愛
「お父さん、着いたら連絡して?無理しないでね」




「瞳もあんまり無理するんじゃないよ、何かあったらいつでも連絡してきなさい」




車の中から身を乗り出すようにしてそう呟くとそれが合図であるかのように車は走り出した



今になって妙に寂しさが込み上げてくる



いけない・・・・あたしには隼人もいるし姉であるあたしがこの子を守ってあげないと・・!



龍さんにあんまり負担を掛けさせちゃいけないもん



そうでなくても家政婦さんのこととか色々甘えているのに・・・




せめてあたしに出来ることをやらないと!



そう心の中で思いも新たにするとふいに龍さんと目があった



「お前って結構ファザコンか?泣くんじゃねえかと思って正直焦った」



「な・・・泣いてないし!ねえ隼人?」



腕の中の隼人は何事かとキョロキョロしているとあたしを見てにっこり微笑んだ



「おい!隼人、男は男同士仲良くしようなお前の姉ちゃんは父ちゃんがいなくなって淋しくて
ベソかいてるしそんな奴ほっといて今日は何かうまいもんでも食いに行こうな」



「ちょ・・・ちょっと!ベソなんてかいてないし~」




あたしの腕のなかから隼人を抱き上げるとあっという間に自分の胸に抱きかかえる龍さん



ふざけてペチペチと龍さんの頬を叩く隼人、無邪気な笑みを浮かべる龍さんの笑顔に一瞬心臓がどきりと波打った
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