激愛
そんなふたりを追いかけマンションに入るといつもと何かが違うのに気付く



もう時計は朝の9時を回っているというのに通いの家政婦さん、春さんの姿がなかったからだ



「あれ?今日春さんは?」



「あ~今日は来なくていいっていっといた、瞳の親父さんがタイに行ってしまう日だから俺はてっきり空港まで見送りに行くんだと思ってたしな」



そう言いながら抱っこしていた隼人を高い高いしている龍さん



きゃあきゃあ声を出して笑いながら楽しそうにしている隼人



出会った時からこの二人は妙にウマが合うと言おうか隼人は龍さんのことが大好きなのだ



あたしはそんな二人を微笑ましく思いながら苦笑いを浮かべた




「お父さんが見送りはいいって聞かないし・・・・まあ一度言い出したら聞かない人だからそれに、今生の別れって訳でもないしね」



「そうだな、逢おうと思えばいつでも逢えるか?でもやっぱり親子だな頑固なとこは親父さんに似たんだな」



「え?頑固?あたしが?」  「そうだろうが!お前の親父さんここの家賃だっていいっていったのに勝手に手続きしちまうし!竜谷の件だってそうだろうが!ったく」




半ば諦めた表情で隼人を抱っこしたままソファへと座る



龍さんの膝の上の隼人はなんだか今日はごきげんだ



ふたりが揃っているからなのかなって思う、来たばかりの頃は流石に家政婦さんには懐かなくて・・・・




泣き止まなくて学校に行くのも後ろ髪を引かれる思いだったけど・・・・
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