激愛
「何泣いてんだよ・・・」



「ご、ごめん・・・・」



何故か拭っても拭っても涙が止まらなかった



何の不自由もなく恵まれた家に生まれたのに龍さんのあまりに淋しそうな表情に苦しくなった



沢山の女の人と遊んで抱いたとしても龍さんの言葉からは満たされない思いが溢れている




財閥の御曹司として一般人のあたしにはわからない辛さがあるんだろう



その思いをわかってあげられないことがなんだか辛くて仕様がなかった




「お前に泣かれるとどうしたらいいかわかんねえ」



そう言いながらそっと頭を撫でている龍さん



大きな手が温かくてなんだかそれだけで安心出来る



こうやって龍さんに頭を撫でられるの・・・・なんか好きかも



「ふふっ・・・本当にごめん一体どうしたんだろあたし・・・きっと龍さんがすごく辛そうに見えたからかな」



「辛そう?俺が・・・・?」




「そう、凄く辛そうに見える・・・・好きでもない女の人抱いてもその時はいいかもしれないけどむなしいよね龍さんも女の人も不幸になるだけ」




そんな言葉を龍さんに言いながらふと頭に浮かんだのは義理の母であった美由紀さんのことだった




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