激愛
「・・・・・」 「・・・・・」




彼女が帰ると静まり返って妙な空気が広がる



あたしはなんだか息苦しい空気を感じてこの場に居たくなくて無言のまま部屋を出る




龍さんの前を横切ると何かを言われたような気がしたけれど目を合わせない様にした




今何か言われても色々な感情がせめぎあってとんでもないことを言ってしまいそうだから




所詮龍さんは雲の上の人・・・・彼は森田財閥の御曹司




加えて婚約者までいるひとであたしなんかとは釣り合うわけがない




わかってはいるけど・・・・どうしてなんだろう




「どうして好きになっちゃったんだろう・・・・あたしって馬鹿だよ」




誰もいないリビングでぽつりと呟くと薄ら浮かんだ涙を拭った



台所へ行き冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出すと流した涙を補うかのように水分を補給する




するとあたしは携帯を掴んで財布をポケットに入れるとパーカーを羽織ってマンションを後にした





少し頭を冷やさなくちゃ・・・・今はひとりになって考えたい






あたしは溜息をひとつつくと夕闇の街を駆け出していた
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