激愛
「あたし一目惚れしちゃったのよ、お見合い写真を見ただけでどきっとしちゃって早速自宅を調べて連絡もなしに本人を見に行ったの」




「え?お見合いの前にですか?「お嬢様はこうと決めたら引かないひとですから・・・」



田所さんはそう答えると苦笑いを浮かべている



そうだ、響子さんは昔からそんなひと・・・・・田所さんに向かって怒る仕草も人を惹きつけて止まない




でも連絡もなしに突然訪問とは響子さんらしいといえばらしいかな




あたしも苦笑いを浮かべていると響子さんの顔が途端に曇ってくる



こうなったら響子さんを止めるひとは誰もいない、嗚呼スイッチを押してしまった!





「実物は写真よりも断然素敵だった!あの人こそあたしの夫にふさわしいわなによりも森田財閥の御曹司よ?あたしの傍らにあの人がいたら皆は羨望の眼差しで見るに違いない!あのひとの隣にいるべきなのはあたしのような女・・・・」



「・・・・・え?」




その後に続く言葉をそっと耳元で囁かれたあたしは一瞬背筋に緊張感が走った



頭が真っ白になったあたしは再び言葉を聞き返す




「響子さん・・・・今なんて?「あの女・・・・消してって言ったのよわかるわね?」



消しての意味がなんなのか、手の震えが止まらない




人の物に手出しするからよ・・・・そう答えると響子さんは口角を上げてにやりと笑っていた
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