激愛
「瞳さん・・・このことは龍一さんは知ってるの?」




上目遣いにソファに座る響子さんは足を組み替えた



そのそつのない動きも美しくて思わず目を奪われる



あたしは・・・・龍さんに家族のことを詳しくは話してはいない



っていうより黒覆面のことが片付いたら徐々に話すつもりではいた




でもあの人の連れ込んでいた男に乱暴されかかった事実までは話そうにも話せなかった




怖かった・・・・ただ無性に怖くて仕方なかった




龍さんに軽蔑されるのが怖くて口を閉ざしてしまったあたし




このことを知ったら龍さんはあたしのことをどう思うんだろう




龍さんの心が離れてしまったらあたしはどうすれば?




大好きなあの人に冷たい目を向けられることほど怖いものはない



響子さんはこの事実を告げる為に今日ここへ来たんだろうか




嫌だ・・・・嫌だよ、龍さんには知られたくない




ぐっと唇を噛み締めると響子さんの瞳をじっと見据えた




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