激愛
でもそんなあたし達の甘い雰囲気を遮るように誰かが走ってくる音が聞こえる





その走り方は明らかに幼い子供のもの




リビングにいた隼人はおぼつかない足取りで走ってくると龍さんの足にしがみ付いたようで・・・




「ねえね・・・・ねえね、遊ぼ」




「あ?なんだ?隼人か?・・・・ったく」




「りゅ、龍さん!いい加減に降ろして!リビングに誰もいないから来たんだと思うし」




「は~結局隼人の言うとおり散歩に行くしかねえのか」




ゆっくりとあたしを床に降ろしながら不機嫌そうにそう呟く




自分の足にしがみ付いていた隼人の頭をくしゃっと撫でると脇の下を軽くくすぐった



きゃっきゃと笑い転げる隼人を見ながら抱き上げると溜息を付きながらぼそっと呟いた




「お前には敵わねえよ・・・ったく、姉ちゃんの貞操の危機を察して駆けつけたか?」




「りゅ、龍さん!」ぺちぺちと龍さんの頬を叩く小さな手・・・・




無邪気にじゃれ合う二人・・・このまま幸せな時が永遠に続いて欲しい





そう願うあたしの思いを遮るかのように突然響く着信音





それが嵐の前触れだとは思いもしないあたしは龍さんのスマホで話し込む姿をじっと見つめていた
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