激愛
「おっす!なんだよなんだよこの重苦しい空気~息が詰まるっつうかもっと和やかに出来ねえの?」




喜一の奴はこの場の空気にそぐわないような明るい声を響かせて部屋に入ってくる



俺はいらっとしながらもそんな喜一をこいつらしいなと思いながら眺めていた



「喜一何言ってんだよ!瞳ちゃんの行方がわかんないから龍一を始め皆、イライラしてんじゃねえか!お前も当然メンバーと一緒に捜してたんだろ?」




「あ~まあな・・・・でも総さん!手がかりもなんにもないんじゃ捜しようがねえんじゃねえの?もしかして親父さんのとこにいるとかって可能性はないのかよ母親の所とか・・・」




「その可能性はないと思っていい・・・・」




「・・・は?龍さんな・・・なんでそう言い切るんだよ」




「瞳の実の母親はあいつが中二の時に亡くなっているし再婚した義理の母親とは親父さんが離婚して以来逢ってねえ・・それにここ最近の搭乗者名簿を調べても瞳が出国した記録はない」




俺がそう言い切ると何故か喜一の顔色が曇ったように見えたのは気のせいだろうか




嗚呼、そんなことよりも一刻も早くあいつを見つけないと・・・!




くそっ!瞳どこに居る?俺は何か大事なことを見落としているのか?




イライラしながら煙草に火を付けると紫煙を吐き出す




じっとしていても始まんねえ・・・・この際森田の力を借りるか?




親父に頭を下げるのは本意ではねえが背に腹は代えられない





























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