激愛
「ふ~とりあえずこれでいいか・・・お洗濯終了!隼人行くよ~」



「ねえね・・・・ねえね」



ベランダで洗濯ものを干す傍らで洗濯バサミで一生懸命遊んでいる隼人に帰ることを告げる



するとおぼつかない足取りでよたよたと歩いてくる可愛い弟




抱き上げるとよほど気に入ったのか未だに洗濯ばさみを離す様子はなくあたしがわざと躰をゆするときゃっきゃと声を上げて笑った




「ねえ、よっぽどその洗濯バサミが気に入ったみたいだね~隼人はなんでもおもちゃにしちゃうね?ここは隼人のおもちゃになるものは何もないからちょうどいいか」




ベランダから二階の自分たちの部屋に行くと隼人を降ろしてふっと溜息をつく



ここに来てから早くも一週間が過ぎ季節はもう六月だというのに夏の日差し




ここは響子さん個人の別荘、繁華街から車で一時間ほどのところにあるらしい




夏休みとか友達と遊びたい時なんかに度々利用している隠れ家的な別荘なんだとか




そんな場所に無理矢理拉致するが如く連れてこられたあたしと隼人




響子さんが出した条件が婚約式が無事終えるまでここにいること




逃げ出さないと約束してくれるなら隼人にもあたしにも危害は加えない




そんな理不尽な要求を彼らは付きつけたかと思うと弟の隼人の首にそっと手をかける




喜一君はぞっとするほどの綺麗な笑みを浮かべるとゆっくりと口を開いた




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