激愛
第30章
龍side




俺が今まで生きてきた中でこんなに寂しかった時があっただろうか




こんなにも一人の女を求めたことがあっただろうか




俺は今日もあてもなくあいつを・・・瞳を探し回っている




「龍一、親父さんには瞳ちゃんの捜索のこと頼んだのか?」



「頼んではみたが親父がなんにも返事をよこさねえ、仕事で忙しいらしくて女にかまけてないでしっかり勉強して響子と仲良くしろだとよ!」




俺は苛立ちのあまり舌打ちをひとつすると煙草をポケットから取り出して火を付けた




瞳が居た頃はあまり吸わなくなった煙草もこの頃は本数が増えてあっという間に無くなる始末




そんな俺を傍らで見ていた総一郎は呆れたように溜息をつく



「程々にしろよ?最近吸う量が格段に増えたぞ」




「イライラすんだよ!俺に指図すんな」




「ふ~ったく・・・・早く瞳ちゃんが見つかんないと龍が高校生で肺がんになっちゃうよ」




俺は総一郎のそんな呟きにも聞こえぬ振りを決め込んで煙草を吸うと紫煙を吐き出す




そんな毎日が続く中、思いもかけぬところから情報がもたらされる




瞳の友達と言う人物が尋ねてきたのはそれから数日後のことだった
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