激愛

「なんでお前がそんなこと知ってんだって顔してるね？だって龍は無意識かもしれないけど母親の話題が出ると顔色が変わるんだよ特にお前の再婚した新しいお母さんの話題になるとね」



「喜一・・・・もうよせ」



「総一郎さんなんで？聞きたくないっすか？」




「お前は龍一の傷をえぐるような真似をして楽しいのか？」



それまで黙って見ていた総一郎さんが何時になく真剣な顔で呟く



総一郎さんは龍さんを庇うように肩をそっと抱くとぽんぽんと子供をあやすように叩いた



それに比べ喜一君は黙ったまま食い入るように見つめる龍さんを見て馬鹿にしたような表情



喜一君・・・・なんで？




あなたって一体・・・？




「傷をえぐるような真似？俺がえぐられたように苦しんだの忘れたとは言わせない」



喜一君・・・？苦しんだって・・・・何？



あたしの戸惑いをよそに喜一君の話は続く




龍さんは喜一君を凝視したまま動こうとはしなくて・・・・なんだか龍さんが壊れてしまいそうで見ていられなくて






いつの間にかソファに座り足を組んで座る喜一君はあたしが知っている喜一君ではなくてまるで違う世界のひとのようだった