激愛
「瞳~今日はいい天気だぞ!こんなにいい天気なのに病院に缶詰なんて最悪だと思わねえ?」




「こんな日はバイクで海とかに行くのもいいかもなあ・・・今度一緒に行こうな?」




病室には無情にも俺の声だけが響く



傍らに横たわる瞳は未だ意識が戻らぬまま10日が経過している




でも俺は絶対諦めねえ




瞳は意識を取り戻すと信じているしだからこうして反応がないが必死で話しかけている




何時か答えてくれるんじゃないかって思って・・・・




横たわり目を閉じている瞳はまるで眠り姫のよう



少し茶色味がかった栗色の髪、白い肌にほんのりピンクに染まった頬と愛らしい唇




伏せられた瞼と長い睫毛すっと通った鼻




俺の心を乱して止まぬ愛しい女の頬にそっと手を触れる




柔らかな頬はそれだけで俺の心を掻き乱すのに十分で・・・・・




俺は我慢も限界に近く、瞳の躰をそっと抱きしめると思わず唇を重ねてしまった




「本当に眠り姫だな・・・おい!お姫様は王子様のキスで目覚めるんじゃねえのかよ?つうか俺が王子様ってガラじゃねえか」





ぽつりとそう呟くと再び瞳と唇を重ね合わせる、ぴくりと瞳が反応したような気がしたのは俺の気の迷いなのか?


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