激愛
307号室・・・・ここだ!



あたしは病室の前に来ると軽くノックをしてそっと部屋を覗き込んだ



病室には彼しかいなくて布団に横たわる彼はぐっすり夢の中




それにしてもよく寝てるな・・・・疲れが溜まってるみたいだって先生が言ってたけど一体全体何をしたらあんな大けがをするんだろ




もしかして複数の人と喧嘩とか?



原因は本人から聞かないとわからないけど・・・・




「こんなに綺麗な顏してんのに傷作っちゃ・・・いい男が台無しじゃん」




あたしは病室の椅子に座り彼の近くに寄るとそんなことを思わず呟いていた



するとそんな彼があたしの声に反応したように突然ぴくりと瞼を動かした



彼はゆっくりと瞼を開けると目をきょろきょろと動かしてあたしの方を見る



目が合った瞬間、眉間に皺を寄せたかと思うと掠れた静かな声で一言呟いた



「お前・・・・誰?ここは?」



「ここは病院だよマンションの駐輪場にあなたが倒れてたからあたしが救急車呼んでここに連れて来たの」




「・・・・・あ、そう」



彼は興味無さげな風にあたしを一瞥すると再び目を閉じた



・・・・は?人がせっかく助けたのにこの反応?有難うの一言もない訳?




ふつふつと怒りが込み上げてきたあたしは無意識に拳を握りしめていた





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