激愛
「龍一を頼むよ・・・あいつは意地っ張りだから」



そう捨て台詞を残していそいそと帰ってしまった龍さんのお父様



やっぱり心の中では龍さんのことを何処までも案じているんだな



そう思わずにはいられなかった



だって何回もあたしにお願いしてたし・・・・




「でも総長室に籠ったっきりだなんで・・・・」




龍さんってばあたしに逢いたいとか思わないのかな



あたしはこんなに逢いたくてたまらないのに



「もしかして本当にあたしのこと忘れちゃった?嫌いになったのかな」




溜まり場に行って顔も見たくないとか言われたらどうしよう




龍さんはあたしに逢えなくても平気なんだね



あたしはたった二日逢えないだけで淋しくて淋しくて・・・



逢いたくてたまらないのに




溜息をつきながら病院の窓を見つめると眩しいくらいの青空が広がっていた




季節はもうすぐ眩しいくらいの夏を迎えようとしていたけど心はなんだか晴れてはくれず




そんなあたしが退院したのは龍さんのお父様が来てから三日後のことだった
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