【短】退屈なX'mas



「……葵」


涙が収まってきた。まだしゃっくりはするけど。

今日二回目の先輩に呼ばれた名前は、まるで恋人同士のようで本当に不思議な感じ。

恋人だなんて思う自分が馬鹿みたいね。本当。

先輩は微塵も、そんなつもりはない。


私は腫れた感覚の瞼を開いて、先輩を見た。

その時だった。


「っ!」



口のなかいっぱいに、イチゴが入れられたのは。



「…ひぇんはい(先輩)」



大きなイチゴ。一つ丸ごと入れやがった。


先輩が、にかっと白い歯の笑顔で笑った。


……先輩は先輩だ。


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