【短】退屈なX'mas
「……葵」
先輩がもう一度、私の名前を呼んだ。
自分の中の熱い想いに気づいたとき、
私は先輩にキスをしたいと思った。
「……彼女、いるんですよね」
苦いけど、確認しなくちゃいけない。
彼女がいるのはさっき聞いた。
けれど、再度。
これ以上先に、行くことは出来ないだろう。
「――いない」
「えっ?」
「だから、いない」
「じゃあさっきのは……、なんですか」
「葵が嫉妬してくれると思ったから」
「信じられない」
「ホント。」
「なら、私達のこれまでの、数々の幼稚な喧嘩はなんなんですか」
信じられないほど低レベルな争いをしてきた。
「お互いが、自分自身の気持ちに気付いてなかった、てこと」
「……え、」
「葵の気持ちを、今知った」
……私の、気持ち?
「でも俺も自分の気持ちを、今知った」