【短】退屈なX'mas
そんなことをこんなに真剣な顔で言えるのは、
外見だけでは判断できない先輩の内面。
「……先輩の、気持ちって?」
「知ってるくせに」
知ってる、かもしれない。でも確信じゃない。
あなたの言葉から、知りたい。
「意地悪しないで教えてくださいよ」
先輩が顔をしかめた。
少し歪ませた顔が、妙に子どもっぽかった。
よく見たら、幼さの残った顔をしてる。
22歳の大人が、端正な顔の奥に幼さを残している。
先輩なのに。
先輩が近づいて、温かい唇が触れた。
とても柔らかくて、温かい。
「もうわかるだろ」
すぐに離れたのが、なんだか物寂しい。
先輩の顔がそらされて、恥ずかしがっていることに気付く。
それに加えて、温かいキスをいただいたから、
もうこれで許してしまおう。