【短】退屈なX'mas



「それ、本気で睨んでる?」


先輩に苦笑される。鼻で馬鹿にされてるようにとれる。


「……本気ですけど?」

「はっ、本気?あはははは」


すごいムカつく。

そんなに笑わなくてもいいのに。


先輩も、クリスマスも、リア充も、全部全部ムカつくなコンチクショウ!


「――で、なんで苛ついてたわけ?」


先輩が体勢を整え直し、聞いてきた。


「今日はクリスマスですよ、クリスマス。
先輩はムカつかないんですか。
こうして恋人たちリア充のためだけに、私たちは辛い想いをして、こうして働いているのに。お礼の一つくらいくれっての」

「考えが恩着せがましいな。
しかもクリスマスは、リア充のためだけじゃないだろ」


先輩がそう言うと、何やら考え込んだ。


「しかも会計は結構お礼してくれるぞ」

「な……」

「お前は大抵ケーキ詰めだもんな」


先輩が残念そうに目を向けてきた。



「はぁ。そうですね。先輩はいいんですか。クリスマスをこのまま終わらせて。」


先輩がアルコールとタオルを差し出す。拭け、ということらしい。


「俺はいい。帰ったら彼女が待ってる」

「……」


先輩とは“クリボッチ”仲間だと思っていたのに。

彼女が、待ってる?え?


< 3 / 14 >

この作品をシェア

pagetop