【短】退屈なX'mas
「それ、本気で睨んでる?」
先輩に苦笑される。鼻で馬鹿にされてるようにとれる。
「……本気ですけど?」
「はっ、本気?あはははは」
すごいムカつく。
そんなに笑わなくてもいいのに。
先輩も、クリスマスも、リア充も、全部全部ムカつくなコンチクショウ!
「――で、なんで苛ついてたわけ?」
先輩が体勢を整え直し、聞いてきた。
「今日はクリスマスですよ、クリスマス。
先輩はムカつかないんですか。
こうして恋人たちリア充のためだけに、私たちは辛い想いをして、こうして働いているのに。お礼の一つくらいくれっての」
「考えが恩着せがましいな。
しかもクリスマスは、リア充のためだけじゃないだろ」
先輩がそう言うと、何やら考え込んだ。
「しかも会計は結構お礼してくれるぞ」
「な……」
「お前は大抵ケーキ詰めだもんな」
先輩が残念そうに目を向けてきた。
「はぁ。そうですね。先輩はいいんですか。クリスマスをこのまま終わらせて。」
先輩がアルコールとタオルを差し出す。拭け、ということらしい。
「俺はいい。帰ったら彼女が待ってる」
「……」
先輩とは“クリボッチ”仲間だと思っていたのに。
彼女が、待ってる?え?