【短】退屈なX'mas
「もう帰ります。そのスペシャルイチゴ、あげますから。」
私はそれだけ言い残して、とっとと奥の部屋へ向かおうとする。
「おい」
そう言って先輩に肩を持たれ、強引に振り向かされた時、
先輩に今の顔を見られて欲しくなかった。
だって私、泣いていたから。
見開かれた先輩の目と、目が合う。
「……」
先輩も私も何も言葉に出来なかった。
私は、先輩の手を振り払う。
ムカつく、ムカつく、ムカつく!!
私は、ズカズカと奥の部屋へと歩いた。
先輩は驚いているのか、ついてこなかった。
それが何故か寂しいと感じて、なんか変で、
すぐに感情も一緒に拭う様にして涙を拭った。
きっと、先輩には、なんで泣いてるんだコイツ。と思われたに違いない。
しかも、滅茶苦茶食い意地張ってるオンナ、
という風に記憶に刻み付けられたんだろう。
ああ!もう!
ムカつく!
私は、複雑かつ難解な気分で帰る支度を整えた。