犯罪彼女
「ああ?」

「車内で電話なんて非常識だ!
それにそこは優先座席だぞ! こちらの妊婦さんに席を譲るべきだろう!」

正論を放ったサラリーマン。よくぞ言ってくれた。

女性は舌打ちをしながらサラリーマンを睨んだ。

「ごめんショウくん。変なおじさんに絡まれたから電話切るね。また電話する。バイバイ」

女性は電話を切った。サラリーマン含めた優先座席周囲の人々の安堵する気持ちが言葉はなくとも伝わってくる。

だがその平穏な空気も束の間に消え去った。
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