犯罪彼女
「ま、そんなことどうだっていいんだよ。私がブスか美人かなんて今論点になるべき話ではないし、そもそも主観的な評価で変わるもんね。

君の言い分も、彼の言い分も、よーくわかったよ。その上で判定を下してあげよう。ただ長引くだけの議論じゃ何の解決にも繋がらないし、やかましいだけだ」

セーラー服の女子はペラペラと一人で話す。
僕含めこの場にいる人達は、彼女の姿に見惚れ、話なんてほとんど聞けずにいた。

なんていうか、目に焼き付けておかなければならないって感情が本能的にあるみたいな。

それくらい、この人は美しい。



……人間は未完成なものが好きだというけれど、それは嘘だと思う。

だって現実、この完璧な芸術作品のような女子を前には目を逸らすことすら許されないのだから。

きっと、そんなことを言った人は本物を知らないのだ。
< 129 / 256 >

この作品をシェア

pagetop