犯罪彼女


「すーちゃんのばかぁ! バレンタインくらい会ってくれたっていいじゃん!」

「あんたってわかりやすいわ。
どうかした時は大抵圭吾くんのことだもんね」

「すーちゃんなんてもうしらない!」

おかわり、とグラスを突き出す。
マスターは新たな酒を注いでくれた。口に含むとウイスキーではない、フルーティーな味がする。まぁいっか。

「それにしてもほのかちゃんが手作りなんて意外ね。去年まで買ってなかったっけ?」

「ちょっと前にすーちゃんがさ、私が料理出来ないって馬鹿にしてきたから、それならバレンタインに作ってあげるなんて言っちゃって。
すーちゃん、楽しみにしてるだとか言ってたんだよ!」

「あーなるほど」

日頃溜めていたストレスをマスターに吐いた。

マスターはすごく聞き上手だと思う。
なんかよくわからないけど、私マスターになら本音言えちゃうんだよねぇ。

今はアルコールが手伝っているのもあるけど。
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