犯罪彼女
「竜崎くん、だよね?」
うとうとしていると、女性の声が僕を呼んだ。
はっとして顔を上げる。そこには綺麗な笑みを浮かべる女性がいた。
思わず見惚れてしまうほどの容姿に、僕は驚いた。
「えっと…林さん、ですか?」
非現実的な程に美しい彼女は、夢の中の住人だったりするのだろうか。
僕はそう思って自らの手の甲を抓ってみたが、ちゃんと痛い。夢じゃないらしい。
「ごめんね、待たせたみたいだ」
「あ、いえ。ありがとうございます」
林さんに差し出されたホットの缶コーヒーを手に取る。
林さんは僕が座るベンチの隣に座った。