犯罪彼女
須磨
『須磨くん、千葉ちゃん知らない?』
「千葉? 知らねえけど」
『参ったなぁ。ここ一週間、千葉ちゃん仕事の約束にも来ないんだけど』
「千葉が? 変だな」
『でしょ? しかもそれで、依頼人…あ、俺の上司なんだけど、怒っちゃってさ。見かけたら教えてくれる?』
「ああ、わかった」
夕方、休憩中にかかってきた大輔からの電話。
心配が頭を占めた。
千葉は今の仕事ーー情報屋を気に入っている。
だから情報屋として不利益なことはしない。絶対に。
つまり、仕事に来ないというのはおかしいということだ。
千葉に何かあったのだろうか。